俺の彼女

信号待ちで止まった交差点


ふと
白いガラス張りの建物が目に入った


店先はきれいに水が撒かれ

色とりどりの花で
小さな店は溢れていた


潮風に混ざる
花の香り


その時

上品な雰囲気の女が店から出てきて


その後を見覚えある巨体が追って出て頭を下げた

「ありがとうございましたぁ!」


よく通る高い声


あの巨体を見間違うはず無い



「あいつ…。」

プップー!!

思わず出た声と共に
青信号を知らせる、後ろからのクラクション



慌てて走り出す

すれ違い様に店の前を見ると



愛梨がしっかり俺の瞳を捕らえている




ドクンッ!



自分でもわかるくらいに
鼓動が早まった


数百メートル走って
バイクを防波堤に寄せて止める


後ろを振り返ると
愛梨がまだ店先に立って俺を見ていた