「はい! みかん」

背中に隠し持っていたみかんを、下から投げた。

「あ…さんきゅ…」

「あたしも食べよ!」

敦美は俺の机のイスをひき、腰を掛けると、みかんをむき始めた。丁寧に皮をむき、白いスジを綺麗に取り去って、一房、その小さな口に入れると

「これ、あまーい!」

と、歓喜の声をあげた。

そんな敦美をなんとなしに見ながら、俺はむいたみかんを半分に割り、更にもう半分づつにして、3~4房を一気に口に投げ入れた。