敦美の手を汚してしまった罪悪感と、不潔な自分を恥じる気持ちが交錯して、すごくいたたまれない気持ちになった。

「……顔洗ってねえから、手、べたべたになったろ」

「別に、洗えばいいし、んじゃ、行くね」

敦美は、とくにそのことを気にしている様子もなく、あっさりと言い放ったあと、部屋を出て行った。

額には、まだ敦美の手の感触が残っている。
細くて、ちょっぴり冷たかった敦美の手の感触。

なんの抵抗もためらいも、また、汚いものを触る様子でもなく、さりげなく、でも優しく俺の額を触ってきた敦美に、恥ずかしさと申し訳なさ、それと若干の嬉しさ……いろいろな思いが複雑にこみ上げてきた。