「あ、あの……巧君は……いらっしゃいますか?」

少女は、応対した敦美に対し、若干恐縮したように体を丸め、下から目線でたずねた。

「あ、巧のお友達?」

「あ、はい……ていうか、同じクラスなんですけど……」

少しうつむき、頬を赤らめて少女は言った。

「巧、たぶんまだ寝てるんじゃないかなぁ……」

首をひねって、そう答える敦美。

「そうですか……具合、悪いんですか?」

「なんか、熱が下がらないって、言ってたかな」

「そうなんですか……」

若干、おどおどとしていて、周囲に気を配るようにあたりをチラチラと見まわしたり、腕時計に目を落したりしている。