部屋を出る寸前、振り返ってみた。


向こう向きの敦美。

そのシルエットは、さながらルノアールの絵画に登場する女性のような、様々な曲線で描かれていた。

いつもは俺の寝ているベッドに、敦美がいる。
俺の肌と接触しているシーツに、敦美の肌が触れている。


ーーはぁ……なんてこったい……

ドアを、音が立たぬようゆっくりと閉め、ベッドで寝息をたてている敦美を残して一人リビングへと降りて行った。