「じゃ、送ってくるわ」

俺は、母親にそう告げると、振り向いて敦美と共に家を出た。

「あー、すっかりお世話になっちゃったなー」

駅までの道すがら、敦美はそう言って空を見上げた。空は、眩いばかりの晴天だった。典型的な冬の晴れ、である。飛行機の残した足跡が、徐々にかすれつつも、空を横断するように、うっすらとその軌跡を残していた。