先生の秘密は恋の予感

私は泣いてなんかいないのに。


本当に泣いてなんかいない。



どうして、私を抱き締めるの。



もう、やだ、私は声を張り上げて泣いた。



「本城のバカー!私は泣いてないのに泣いてるなんていうから、いけないんだ!」


本城の胸を叩いて泣いた。



本当に分からない。


分からないけど涙が止まらなかった。



苦しくておかしくなりそう。



小さい頃からずっと、私は祖母に叱られて来た。



何しても何やっても駄目な私は祖母に毎日叱られたから、ずっと祖母が怖かった。



ずっと我慢してきたのだ。



もう私に構わないで。



「本城なんて嫌い、大嫌い!」



「佳奈実! 」



やだ、離して!


本城のバカ、バカやろう。


これ以上近づいたら、訴えてやる。