「麻里、俺の彼女紹介するよ。綾香(アヤカ)さんだ」
社会人になって突然現れた黒髪美人…。
これまた目鼻立ちがハッキリしていて色白の肌にすらっとした体型の彼女は、誰がどう見てもお似合いのカップルだった。
「貴女が麻里ちゃん?颯斗が自慢するだけあって本当に可愛いわね。麻里ちゃん仲良くしようね」
ふんっ!何が”颯斗”よ。あたしからお兄ちゃんを奪うなんて百万年早いんだよ。
こんな女、絶対認めない…――。
「お兄ちゃん女の趣味悪過ぎ」
あたしは気付いたら彼女を睨み付け、昼ドラなんかで見かける修羅場状態になっていた。
「麻里!お前、綾香に謝れ!」
あたしは二人を押しのけただ、ひたすらその場から逃げた。
なんでなの……?。
お兄ちゃんは、ずっとあたしのそばに居てくれるんじゃないの…?
あたしをお嫁さんにしてくれるんじゃないの…?
ただ、ただ悔しくて泣いた。
胸の中がモヤモヤして頭の中がグツグツと沸騰し熱くなっていくのが分かった。それが初めて覚えた”嫉妬”という感情だった。


