「はぁぁ〜」


部屋に入ると同時に深い溜め息を吐いた。


淡いピンクのカーテンと一緒に揺れる風鈴がいつものように耳を心地よく潤してはくれない。


フカフカのベッドの上に仰向けになり天井にある豪華なシャンデリアをボーッと眺めていた。


そして胸元にある二つの小さなリングに手を当て、呪文でも唱えるかのようにあたしはひたすらお兄ちゃんを想った。





お兄ちゃん


あたしはここにいるよ。


早く迎えに来てよ。


会いたいよ。


お兄ちゃんに会いたよ。