「おはようございます」
いつもより早く店に着き勢いよく扉を明けると、そこにはずらりと怖そうな顔が並んでいて一瞬店を間違えたかと思い看板を見直した。
”snack Angel”
昭和の匂いがする名前。
間違いなくあたしの働く店の名前。
入口でうろたえていると中にいた怖い顔をした男の一人が中に入るように促した。
「失礼します」
まるで校長室に入るような妙な緊張感を覚え訳の分からない汗が頬を伝った。
「バイトは更衣室に入ってなさい」
聞き慣れたママの声にホッとして返事をした。
見渡すとバイトはあたしだけしかいなくオーナーとママと先輩ホステスがボックスに座り何となく険しい表情に思えた。
店の台所事情の話をしているのは分かったけど集団の男達は何者なのかさっぱり掴めなかった。
莉奈にメールで知らせなきゃと思いその場を立ち去ろうとした時だった。
「バイトも座れ―」


