「ど、どうしたの?そんな大きな声だして。びっくりするやん」
あたしは重たい体を起こし目を真ん丸させた莉奈を見た。
「あたし麻里のお兄ちゃんの写真まだ見てない!ねぇ見せて!」
「へぇ?」
莉奈の意外な言葉に体中の力が抜けた。
そんな事でざわざ起きるなんて… と思いながらも机の引き出しに大切に保管してある赤いアルバムを手に取り莉奈に見せた。
「やっぱ、カッコイイね」
「はぁ?まだその写真子供の頃だよ」
莉奈は食い入るようにお兄ちゃんの写真を見ては騒いだ。
「あれ?ここの部分ないけど…」
「あぁ、そこには確か、あたしが中学ん時のやつが貼ってあったんだけど施設で何回も部屋移動があったからその時無くしたんだ」
「そっかぁ…てか、麻里は両方に似てるけど、お兄ちゃんはパパ似だね。ママには全然似てない気がする」
莉奈は一枚しかない両親の写真とあたし達兄弟の写真を何度も照らし合わせていた。
言われてみれば、お兄ちゃんは、お父さんそっくりだけど、お母さんには似てないなぁ…。
莉奈に言われて何となくそう感じただけだった。
この時、あたし達兄弟の”真実”なんて知るわけがなかった…――。


