そして…溢れ出す涙を必死に抑えながらお父さんの前に座った。
「お父さん、お母さん、短い間でしたが、お世話になりました。これからあたしは自分の決めた道をしっかり歩んで行きます。そして…幸せになります。親孝行出来るまでどうか、お元気でいてください…」
「ま…り…」
「それから…あたしは山崎家の娘でいれた事に心から感謝しています」
最後は涙が邪魔して上手く言葉にならなかった。
でも、両親への感謝の言葉だけはどうしても伝えたかった。
そしてこの夜、
初めて親子三人、あたしを真ん中に川の字になって最後の夜を過ごした。
お父さん、お母さんと繋いだ手の温もり―。
あたしは一生、忘れることはないだろう――…。


