ベランダに身を乗り出し七階から下を見下ろした。
時折、吹いてくる風に押されそうになりながらも頭の中は死んだ両親との再会を描いていた。
ここから落ちれば間違いなく即死…。
ちょっと痛いかもしれないけどすぐに天国に逝ける。
お兄ちゃん…
あたしはお兄ちゃんの妹でいれた事が一番幸せでした。
お兄ちゃんが決めた任侠道をしっから貫いて下さい。
血が繋がってなくてもお兄ちゃんはお兄ちゃんだよ。
お兄ちゃん…愛してる。
山崎のお父さん、お母さんごめんなさい。
莉奈、ごめんね…。
ネックレスを外しスリッパの横に並べ足をベランダに置いた。
もう、この世に未練なんか何も無い――…。
目を閉じた瞬間、痛みではなく、なぜか温もりを感じた。


