両親は”殺人鬼の息子には絶対近付くな”と言い残し病室を出て行った。
「ふぅ〜」
煙草の煙りが青い空へと消える。
テーブルには昼食で出されたうどんが水分を吸われ豆腐に変形している。
胃の神経も麻痺してしまい体が唯一受け入れるのはニコチンだけだった。
喫煙室に行くのすら足が重く看護師の目を盗んで病室のベランダを喫煙所としていた。
両親が帰ってからも、お兄ちゃんが病室に来る事は無かった。
小さい頃から金魚のフンみたいにずっとお兄ちゃんの後ばかりついて回ってた。
お兄ちゃんはいつもあたしを助けてくれた。
お兄ちゃんはいつも優しかった。
お兄ちゃんはたった一人の家族だった―…。
家族だと思っていたのに他人だなんて…
あたしがお腹に宿ったばっかりにお父さんとお母さんは死んだんだ。
あたしさえいなければ…
あたし生きてる意味あるのかな…
お兄ちゃんと他人ならあたしは一人ぼっちじゃん。
そうだ…お父さんとお母さんのそばに逝こう。
あたしなんか消えてしまえばいいんだ――…。


