殺人鬼……
あたしの体中に鳥肌が散らばり吐き気と目眩が交互に襲い掛かる。
そんなあたしをずっとハンカチで目を押さえ黙っていたお母さんが抱きしめた。
「お母さん…嘘よね?だってお兄ちゃんと同じ苗字だもん!おかしいじゃない。それに何でお父さんは新城じゃなくて山崎なの?」
「麻里ちゃん…お父さんは、山崎家の養子なのよ」
「じゃあ何でお兄ちゃんも新城なの?」
「偶然なのよ。颯斗の父親が捕まった事で離婚が成立し女の旧姓は新城だったの。同じ日に施設に入った二人は兄妹と勘違いされてしまったの」
「でも、この指輪は?お兄ちゃんも持ってるのよ」
あたしは胸元に隠れていた両親の形見でもある指輪を取り出した。
「颯斗のは知らないけど麻里のは勇一さんの遺品の中から出てきたのよ。出産予定が11月だと分かってすぐ買ってたみたい…。なのに…麻里の顔も見ずに殺されちゃうなんて…勇一さん無念だったでしょうね」
お母さんは再びハンカチで目頭を押さえ泣き崩れた。
真実を知り、もはや感情を無くしたあたしは涙すら出てこなかった。
ただ大空を元気に飛び回る鳥たちのようにどこか遠くへ消えてしまいたかった。


