「勇一達は麻里が宿った事を許されないと知りながらも喜んだ。二人は駆け落ちしたんだよ」
「駆け落ち…?」
「女の亭主が離婚を認めなかったんだ。それどころかお腹にいる麻里を殺そうとしていた。麻里を守る為には駆け落ちしか無かったんだ」
「……」
「亭主に酒を飲ませ寝た頃を見計らって家を出た。でも…女は亭主の連れ子である颯斗を置き去りにすることが出来なかった。あのまま逃げてれば気付かれなかったのに」
お父さんは鋭い目でお兄ちゃんを睨む。
お兄ちゃんはこの雰囲気に耐えられなかったのか”煙草”と言って病室を出て行った。
「勇一達はまた家に戻り颯斗を迎えに行ったんだ。その時、颯斗の泣き声に亭主が気付き怒り狂って勇一を殺し、女は麻里を産んで勇一の元へ自ら首を吊って死んだんだ…」
「そんな……」
愕然とするあたしにお父さんは更に残酷な事を言った。
「颯斗は殺人鬼の息子なんだ」


