「麻里にそんな怖い顔は似合わないぜ、兄貴くらい、いなくなったって平気だろ?ずっと離れてたわけだしな」


「あたしは…お兄ちゃんを…愛してる、あたし達キョウダイは愛合ってるの」


剛の体が一瞬固まり、やがて甲高い声で笑う。


「お前ら正気か?キョウダイで愛し合ってる?馬鹿げてる」


「本当よ…だから、ここに来たの。あんたに無かった温もりがお兄ちゃんにはある…」


「あの男はどこまで俺を苦しめるんだ。麻里まで奪うつもりか?……たった今からゲーム変更だな」


「変更……?」


「その、お兄ちゃんの大切な、お前を殺せば俺の苦しみが分かるだろ?心配するな、俺も一緒に逝くから」


剛の手には果物ナイフが奇妙な光りあたしに向けている。


「上等よ…」


お兄ちゃんを守るためたら、この命惜しくなんかない…。


山崎家のお父さん、お母さん、今までありがとう。あたしは幸せでした。


どうか、親不孝を許してください…。



お兄ちゃん…
やっと一緒に暮らせたのに裏切ってごめんね。


あたしはずっとお兄ちゃんを愛しています…。