今日も小鳥たちが楽しそうに木の枝ではしゃぎ回っている。


「はぁ……」


大きな溜息と共に煙草の煙りが天井に昇る。


メンソールの刺激がいつものように喉を潤した。


テーブルには真っ赤な十九本の薔たちが、こちらを眺めている。


お兄ちゃんからの誕生日プレゼント―。


今年は手紙付きではなかったが、メロディ付きの誕生日カードに”おめでとう”と書いてあった。


あたしの胸元にはダイヤのネックレスが居心地悪そうに輝いていた―。


やっぱりこのネックレスは剛と会う時だけ付けよう…―。


あたしにはダイヤモンドよりエメラルドの方が似合ってるしお兄ちゃんとの証だから。


ダイヤモンドのネックレスを丁寧に箱に入れ、化粧台の引き出しに大切に閉まっておいたエメラルドのネックレスを付けた―。


胸元に光る指輪に手を当てると体中を包み込むように癒してくれた。





でも…


これが出口の見えない悲劇の始まりだった―。