百物語骨董店


まだ
少し安心できたのは


少女の背後からもれる
温かいオレンジ色の灯…


ハヤクキテ…
フフフ…



「そんなに怖がらせてはいけませんよ」



突然の
男の声に


ハッと気付いたら
俺は


もう既に
店の中にいた


紅茶の
いい香りの漂う中に



男がひとり
いた



漆黒の髪
濡れたように赤い唇


綺麗な
人だな…


とつい思った



「あなたをお待ちしてたのですよ」



男は微笑む



同じ男なのについ
笑顔に見とれた