★玲Side
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“苺李いた?”



光太郎のその質問に指がピクッと動く。



『…知らね。』



答えになっていない曖昧な返事。



「いなかったんだ?」



『いなかったんじゃねーの?』



車の外の景色をみながらそう言った。

苺李を見つけることはできた。

俺を覚えていないようだったけど、確信はした。

だけど光太郎には言えない。



『光太郎は?』



まさか光太郎も“花本苺李”が華城苺李だってことに気付いて…



「え?」



『苺李、見つけた?』



光太郎を見る。

一度視線が合ったが反らされた。



「…いなかった。」