さっきいた庭を通りすぎ、廊下の角に差し掛かろうとしたところで誰かが思いっきりぶつかってきた。
俺は肩を掴んで咄嗟に受け止めた。
誰…って
「ごめ…『苺李?』」
俺を見て驚いている苺李の目には、涙がたまっていた。
「コウタロウ…」
『苺李、どうした?』
まさか玲が何かしたのか!?
「な…んでもないよ…」
そう言って苺李が下をむいた。
そのとたん、苺李の目に溜まっていた涙がこぼれ落ちた。
『嘘、泣いてるじゃん』
「え?あ、やだなぁ…なんでだろ。てかコウタロウこそ帰ったんじゃなかったの?」
『今日は玲と帰らなきゃいけなかったからさ。車に行っても玲がまだいなかったから迎えにきた。』
咄嗟の嘘。
何があって泣いているのかわからなかったから、
泣いている苺李に
“玲とふたりっきりにさせたくなかった”
なんて
言えなかった。
「そうなんだ。」


