自分たちが森の外に出た途端に、森全体が淡い泡の群れに包まれた。


そして振り返ったその時には、そこには初めから何もなかったかのように森全体が消えてなくなった。


七色の虹だけを残して。



「切ないのぉ」


ポツリとそうアロハジジィが呟いた。


駆け抜ける涼やかな風に、なんとなくだが胸がギュッとしめつけられるようなかんじがした。


いや、らしくない。

本当にらしくない。


今日の自分はどうかしている。



「坊主は返上かのぉ」

「そうね」


同行者二人が顔を見合わせ、ふふふと小さく笑う。



「怪我はないのか?」


アロハジジィに改めて問うと「わしゃ不死身じゃよ」とカッカッカと声を上げて笑われた。


弱っていると思ったのに、入らぬ心配だったな。



「それより、どうするんじゃ? 『命の雫』を届けないといかんのじゃろ?」



ジジィに言われ、改めてアラダの言葉を思い出す。



「このグラスに雫を注げと言われたが」


どうやって?