マリアが避難するのを確かめてから、団扇を大きく振った。


ブワリッ!!


と川原の石という石、砂利という砂利が宙に舞い上がる。


その中にキラキラ光る白い欠片を幾つも見つけ、その場に団扇を投げ捨てた。



宙に舞う白い骨たちを一つ一つ、逃さないように掴み集める。


すべてを集め、地に降り立ったと同時に、待っていた石や砂利がドシャッと崩れるように元の姿に戻った。


林の向こうに歩を進め、そこで待つ白髪の老人に握っていたものすべてを渡す。


「これがすべてだと思う。並べてみるといい」



オダケンは小さく頭を下げるとすぐに、他の3本の足の横にそれらをならべた。


並べ終えた後、こちらを振り返り満面の笑みを浮かべた。

その目にはうっすら涙が浮かんでいる。



「マリア、仕上げだ」



一緒に固唾をのんで見守っていたマリアに向かってそう言うと、マリアは黙って頷き、横たわる『たつろう』の頭を撫でた。



「よく頑張ったわ。もうすぐよ」



その声に甘えるように『たつろう』はキュウンと鼻をすり寄せた。




マリアはにっこりとほほ笑み、胸の前で両手を組んだ。
それから祈りの言葉を並べ、主へ理解を求めた。



主は受け入れてくださるのか?



そんな不安は微塵もない。