踵を返し、マリアとともにその場を後にしようとすると。


「おいっ」


とネビロスに呼びとめられた。


「なんだ?」


振り返る自分たちにネビロスは穏やかな笑みを浮かべた。



「おまえらと関わって死んだアイツをバカだと思ったが。訂正する。おまえらなら……この関係を……連鎖を変えられるような気がする」



それは望みか?


と口から出そうになったが止めておく。



望みというよりは託されたのだろう。



「あまり天使を信じるな」



前に向かって歩きながら、それだけ伝えた。




ネビロスの声はそれ以降、聞こえることはなかった。