考えている時間も余裕もないのだから。
それに、もうイメージしてここにあるのだから、これでなんとかするしかないのだろう。


「アイツのことは……責めきれんな」


ため息とともに、刃を出す。


大鎌にカッター。


アイツはこの刃であの鎌の刃を抑え込んで、跳ね返していたな。


アイツに出来て、自分にできないわけがない。


「あっさりとは死ねないな」


迫りくる大鎌の刃にカッターナイフの刃を向ける。


カッターの先端が大鎌の刃を受け止める。
ネビロスを押し返す。


マリアはその間に祈りの言葉を口にしている。


剣の出現まで、まだ時間がかかりそうだ。



「さて、どうしたものか?」


態勢を整えるネビロスの眼は先ほどまでとは打って変わっていた。


どうやら、カッターナイフごときに押し返されたことが、ヤツのプライドを相当に傷つけたらしい。


もしも自分が同じ目にあったら、相手のことは八つ裂きにしたいほど憎らしいだろうな。


ギロリ。


赤い瞳がより一層赤く輝く。