「出でよ、地獄の門!!」


アラダの呼び声に呼応するように地面が隆起し、激しい地震を起こす。


だが、足元がふらつくほどの地震ではない。

たとえ地面がどれほど揺らごうが。
自分の力でねじ伏せてしまえばいいのだ。



地面を突き破るように悶絶する死人絵の巨大な扉が姿を見せる。


その前に、自分はマリアとともに並び立つ。



「リミットは地獄の月が落ちるまで。それまでに戻らなければ、同行者1名は確実に塵と化す」



返事はしない。


重く閉ざされた門を開け、その中へと踏み込む。



もはや行くしかないのだ。



迷いはない。



「さよなら」



『片翼の天使』



アラダの負け惜しみの遠吠えがうっすら聞こえた気がしたが。



今は前だけを見つめよう。


ただ、自分を信じる者のためだけに――