冷たい手。
生気が失われていくその指先。


白くなる顔。
紫色の唇。

その唇がわずかに言葉を紡ぎだす。



「幸せ……」


なんとも言えない、弱弱しい声で。
それでも彼はそう言ったのだ。

そうだな。
私も同じ気持ちだ。



「頑張ったな、私の真理矢(しんや)……」


にっこり……


マリアはかすかにほほ笑んで、そのまま自分の腕の中でがっくりとうなだれる。



「真理矢? 真理矢!!」


抱きしめた彼から返事はない。



「真理矢ぁっっっ!!」



叫んだ自分の声だけが虚しくその場に響き渡るだけだった。