剣の炎はますますその勢いを弱めていく。
もはや、刀身を覆う炎が消えるのは時間の問題だ。


「そんな言葉しか吐けないとは……おまえもずいぶん可愛くなったものだな、アスタロス」


『ミカ……』


分かっている。
分かっている。
今すぐ、おまえのところに行くからもう少し耐えろ。


『ごめんなさい。オレ……マリア失格です』


アスタロスに背を向ける。
こんな悪魔など、今相手にしている場合じゃない。


「ミカエルッ!! 敵に背を向けるのか!! バカが!! お前など。お前など。
私の前では……!!」


アスタロスの叫び声に足を止める。


「今の私は機嫌が悪い。これ以上、邪魔をするな!!」


一喝にアスタロスは押し黙った。


『ミカエル様……』


マリアの声が聞こえる。


もう少し。
もう少しだ、マリア。


私が行くまでもう少し。


『オレ、頑張ったでしょ?』



マリアの元に駆けつけて、伸ばされた手を握りしめる。