「真理矢には『礼節を』とか抜かすのに……自分が一番なっとらんな、ミカ『坊主』」


チッ。
強調してきやがった。

もういい。

こんなことで時間を食うのは惜しい。


「好きに呼べ」


たかだか80年ばかり生きた人間にバカにされるのはこの上ない屈辱だが。

マリアのために今だけ我慢する。



あいつが目覚めたら、ブチのめしてくれる。



「弱い者いじめはいかんのぉ。おまえさんは仮にも天使なんじゃから」



ジジィを見る。


無邪気そうに、入れ歯を見せて笑うあたり。
いい根性しているではないか。


「同行は許可してやる。主からの天命なら致し方ない。二人とも、自分の足手まといにはなるな」


主の天命でなかったら。
即座に追い返していたものを……



「足手まといだなんて……ねぇ?」

「おまえさんのが、よっぽどじゃろうに」


二人が互いを見合ってそう言った。