炎の剣の勢いが弱くなっていた。
あれほど勢いよく燃え盛っていたはずなのに。


それほど、彼の命は危機に瀕していた。



「もうすぐ死ぬよ、アレ……」


その言葉に理性が吹っ飛んだ。


死なせるわけがない!!
私が守ると誓ったのだ!!
心の中で、この身を捧げて守ると誓った相手なのだ!!


「おまえが死ね!!」


渾身の力が、アスタロスの持つ剣を弾き飛ばし。
さらに肩から右腕全てを焼き消した。

「ぐあぁぁぁっっっ!!」


アスタロスは右肩を抑え、さらに体を燃やしつくそうとするマリアの炎を消そうともがいていた。


「そんな痛みじゃ生ぬるい!! 生ぬるいのだ!!」


もがき苦しむアスタロスが引きつった眼でこちらを見ていた。


『ダメだ……ダメだよ、ミカエル様。
あんた。
そんな顔。
そんな鬼みたいな顔。



オレ以外に向けちゃダメだ……』



その声に、とどめを刺そうとした手が止まる。



「なんだ、ミカエル……この期に及んでおじけついたのかよ」


アスタロスが勝ち誇ったように告げる。