「体力自慢ってなんだ、体力自慢ってぇ!! おまえはー。本当にかわいくねー!! 
かわいくねー!! かわいくねぇっ!!」


「ウザい」


同じ言葉、何度も連呼するな。
だから脳がないって言われるのだよ。

まったく。

今は非常事態で。
こんなバカにつきあう時間なんかないというのに。


「ミカエル―!!」


自分に掴みかかろうとするウリエル。
だが、それはもう一人の男の手によってさえぎられる。

もう一人の男はウリエルの肩をぐぃっと掴むと「暑苦しいからやめてもらいたい」と告げた。


「暑苦しいってなんだよ、ラファ!!」

怒りの矛先が自分からあっちに移る。

この男の登場で助けられるとは……運がいいのか、悪いのか。


まぁ。
ウザいのからはしばし解放。

だが、厄介者が増えたことには頭が痛くなる。


「まずは『お帰りなさい』と言うのが先でしょう? あなたはいつも無作法なんですから。ミカエルが怒るのも仕方のないところもありますよ」


そう言って、ラファことラファエルはウリエルの肩をポンポンとたたいた。
それから、自分とウリエルの間に割って入るように立つと、にっこりと微笑んだ。


「お帰りなさい、ミカエル」


お帰りなさいはいいけれど。
その笑顔はだまされる輩も多いだろうが。

目が笑ってない。
目が。


自分にその笑顔は通じない。