約束の通り、ジブリールと名乗ったヤブ医者は、それこそマリアの健康管理に心血を注いだ。
ヨハネにリミット解除の印を結ばせ、気力注入を繰り返すことにより、こちらの世界へマリアの魂を引き寄せようとしたのだが。


「しぶといね、マリア君。根深いって言うほうがいいのかもしれないけど」


水晶の玉を全員で眺めつつ、一斉にため息を吐く。


水晶の向こうに、相変わらず一人で妙なリアクションを繰り返すバカがいる。


「帰りたくなくなるほど苛めたってわけじゃないよね?」


のガブリエルの言葉にヨハネが「Mだからそれはない」と返した。



「アイツ、Mやもん。ドMやもん。そんなんで帰りたくないとか思うヤツちゃう」


確かにM。
言う通りドM。
だから突きやすかった。
そんなに嫌がってもなかった気がする。

じゃ、なんだ?

アイツが妙なリアクションするほどに、そこに残りたくなる理由って。



「あれ、これなんなん?」


ヨハネが水晶を覗きながら指をさす。


のぞいたガブリエルが「ああ、これか」とぼぞりと呟いた。


そしてこちらを見ると「これ、ヤバいよ」と言った。