「俺…今度の日曜、実家に戻って親と話し合ってみる。
また様子を伝えに、もう一度、絶対ここに戻ってくるから」
顔は見えないけど、今まで聴いたなかで一番淋しそうな声だった。
日曜日は二日後…
突然のことで冷静な考え方ができない。
「私も付いていっちゃだめ?」
自分の気持ちを押さえることなんてできない…
「だめ。俺一人で解決しないと…
絶対に来るから、待ってて」
「行かないでよ…
言うことは聞いてくれるんじゃないの…?」
「今回ばっかりはごめんね」
「こんな風に甘えたりできるの、涼しかいないのよ?」
体を抱き締める手の力が強くなる。
「本当にごめん…」
涼の声が震えていた。
それを聞いてしまったら、何も言い返せない。
しばらく無言のままじっと抱き合っていた。
やっぱりこの人の腕のなかは落ち着く。