「里奈のお父さんはどうしてるの?」
お父さん…
そうだ、まだ涼には親が離婚したことを話してなかったんだ。
「私が小6のときに離婚してね、それ以来父親には会ってないの」
「変なこと聞いてごめん…」
「全然気にしてないから大丈夫。
お父さんも悪い人じゃないと思うんだけどね…
お母さんとは合わなくて、浮気してたみたい」
自分の身の上話を他人にしたのは初めてのことだった。
「そうだったんだ…
お母さん、強い人なんだね」
全くその通りだと思う。
「うん。
まぁそんなわけで、中学に入ったときからほぼ一人暮らしに近い今の生活がはじまったの。
ママはすごく仕事が忙しいから、事務所で生活してる。
こんな家庭環境のせいもあって、小さい時から人の心は変わるもんだと悟っちゃったし、他人に期待するのとかバカみたいと思っちゃって。
そんな時にちょっとちやほやしてくれる父親くらいの歳の男の人がいてね。
少し猫かぶるだけで可愛がってくれるんだからほんとにくだらないなーって。人って信じられないなーって思って。けどそんな風にして人のことバカにして面白がってる私も私だよね。
結果こんな捻くれた子になっちゃいました」
何で今日はこんなに色々と話してしまえるんだろう…
彼を信じきっているということなんだろうか?

