「それは本当なの?」
ママが涼に尋ねる。
「はい。
すみません、図々しくて…」
「別にいいのよ。
里奈を一人にしておいたのは私なんだし、こういうことがあるってことは想定できた。
でもあなた、お家の人は本当に心配してないの?」
少し考え込んで、涼は口を開いた。
「先程言ったとおり、ひどい親なんで心配はしてないと思います。
ただ、学校のこともあるし、帰ってこないとそのうち探しに出てきてしまいそうで…
そしたらこちらにも迷惑をかけてしまうので、帰らなきゃいけないとは前々から思っていました。
でも…
帰ったら前以上に暴力をふるわれるのは明きらかで…
暴力で済むのか分からないくらいだから、なかなか思い切れないんです。
本当に申し訳ありません」
こんなに礼儀正しくできるなんて知らなかった。
思った以上に、この子はしっかりしてるんだ。

