「もしもし…」
「お、よく出てくれたじゃん」
よくそのテンションで電話できるな…
無性に腹が立った。
「何?」
明らかに機嫌が悪い声で言った。
「さっきは…悪かった」
「は…?」
「だから…ごめんって言ってんの」
「どうしちゃったの?」
ヒロが謝るなんてありえない…
「ひどいなぁ。
俺もお前みたいに…ちょっとだけ変わったの。
あの高校生、すごいな。
俺が殴っても蹴っても、何もやりかえさないし。
ただ里奈に手出すなって言うだけで。
俺…罪悪感って初めて感じたわ」
涼は…人を優しくさせる力を持っているんだ。
「俺が言うことじゃないけど、大事にしてやれよ」
「えっ…ちょっと…」
返事をしないうちに電話が切れた。