嘘吐き


「専門って…何の専門なの?」


「医療事務の。
医療っていっても事務職なんだけどね。
うちの親も医者だったから医療系の仕事に興味はあって…
今は兄貴が実家の病院継いで働いてるから、そこで働かせてもらうことになった。」


「お兄さんなんていたんだ」


初耳だった。


「うん、五つ上。
また彼が優秀でさ…困るんだよねぇ。
ほんとは俺も医者になりたかったんだけど、医学部に入れないのはよくわかってるからね…」


そう言って情けなさそうに笑った。


「いいの。
だって、三年前の涼がこんなふうになるなんて想像できなかったもん」


「そう思う?
まあかなり頑張ったからね」


ちゃんと分かってるよ。
だからこうやって長い間待ってられたんだ。


でもそう言うのは恥ずかしいし、久しぶりに会って緊張してるのに気付かれたくないから…
ついからかいたくなっちゃうんだよね。


「あー自分で言わなきゃもうちょっと誉めてあげようとおもったのに…」


「うわ、相変わらずだなぁ」


「これでもだいぶ落ち着きました」


「うん、知ってる」



三年間会わなかったなんて思えないほど、こんな風に話したり出来るのがすごく嬉しい。