嘘吐き



「ここじゃ寒いから中入って」


手を引いて中に涼を入れた。


「何も変わってないなぁ」

うれしそうに彼が言った。


「とりあえず座って色々話を聞かせて?」


お茶をテーブルの上に並べて、ソファに腰掛けた。
その隣に涼が座る。


こんなに近くに涼がいることが、まだ信じられない。


「俺、あれから勉強頑張って、結局専門学校に進学したんだ。
で、高校卒業してからあの嫌な家も出て一人暮らししてるんだけど…
親とも前より仲良くやってるよ。

それで…この間就職が決まったから、里奈に一番に知らせたくて」


驚きと嬉しさが一度に込み上げてきて、どうしたらいいのか分からなくなった。


「え、すごい!涼、頑張ったんだね」


「ありがと」


すこし恥ずかしそうにそう言った。