嘘吐き



急いで玄関に行き、ドアを開ける。


懐かしい顔がそこにはあった。
でも前よりずっと凜凜しくなっている。
背は私よりも10センチ程高くなり、華奢だった体付きもだいぶ男らしくなっていた。
でも…
彼の笑顔はかわっていなかったので安心した。


「ただいま」


にっこり笑って涼はそう言う。


「遅いよ、バカ」


感情を抑えられなくなって、玄関にも関わらず抱きついてしまった。


「待たせてごめんね」


「ずっとさみしかったんだよ?」


こんなに素直になれるのは、やっぱり彼の前だけなんだと改めて実感する。