セツナイ恋愛短編集―涙と絆創膏―

夕方の商店街は混雑していた


「ありがとうおじさん」

私は
八百屋さんで最後の
買い物をすませて


家路につこうとしていた

寄り道したから
近道して帰らなきゃ


商店街の脇には
夜の街がある


暗くなると色とりどりのネオンや明かりがついて

活気づく街


別世界なので
あまり近付かない


…だけどそこをつっきると
大分近道なんだよね



「…いいや。とおっちゃおう」



私はペダルを踏みだして走り出そうとした



「…きゃっ」



その時


夜の街の入口で
チラシ配りをしていた
女の子とぶつかって


女の子が転んだ


バサバサっ
とチラシが散らばる



「ごめんなさい!大丈夫ですか?」


私は女の子に駆け寄った