セツナイ恋愛短編集―涙と絆創膏―

自転車を押して帰る放課後


「…なんか最近様子おかしくね?」


ハルが私の顔をのぞきこむ


あの日以来
チホはハルばかり見ている気がする


…なんとなく
ハルをさけるようにしていた私


今日は下校時ハルに
捕獲されてしまった


海沿いの道を歩くふたり


「…そんなことないよ」


あからさまに
おかしい私
そんな私を元気づけようと思ったんだろう


ハルはいきなり
私の鞄を自転車のカゴからつかみ

浜辺に投げ込んだ


「ちょっ…ちょっと!何するの!」


驚いてハルを見ると
もう既に自転車を投げ出して


テトラ・ポットに
登ろうとしていた


「あの…やろぉ。待て!」


その時
私を縛っていた鎖ははじけとんで


気が付いたら
ハルを追いかけて
砂まみれになっていた