セツナイ恋愛短編集―涙と絆創膏―

少し震える手で


ケータイのボタンを
押して
耳にあてた



「もしもし…」


声を絞り出して言う



「…誕生日おめでとう」

聞こえる
頭蓋骨に響くような
柔らかな低音




「…ダイスケ」



私は
その人の
名を呼んだ