セツナイ恋愛短編集―涙と絆創膏―

シンジとは


そんな思い出はなかった


おそろいは
恥ずかしいから嫌だと言ったし


手をつなぐのも
人前ではしなかった




思い出せるのは

気怠い情事のあとの
腕まくらと


私が欲しがった
ブランドのバングル


生乾きのような
なまぬるい
ドライな関係


私は
それでいい、と



繰り返し
口にして