「感動の再会はそのくらいでいいかな?」


 それを分断したのはクロウ。

 はっとして顔をクロウに向ける3人。


「ああ、十分だ。」


 ミアは一歩前に進み出る。


「手、出すなよ?二人とも。」


 青白く冷たい光を腕にまとわりつかせたミアが振り向きもせずに言う。


「蒼天に座す 破鏡(はきょう) 盟約により 地上の月が命ず 我が力に帰結せよ」


 ゆっくりと言霊を唱え、ミアはクロウに対峙した。

 普段柔らかな光を反射する月の光は、実のところ蒼く冷たいのだ。冷酷無比。まさにその単語がよく似合う。



「大丈夫、出させない。」



 カイとルイトが答える前にクロウが微笑んだ。


「!」

「なっ!」


 クロウの手が前に差し出された瞬間、二人を黒い闇が包んだ。


「・・・!」


 動けねえ・・・!

 声のでない状況。ピクリとも動かない体。



「へえ、やるじゃん・・・言霊ぬきで金縛り?」


 にや、と不適に笑うミア。


「お褒めにお預かりまして、姫。」


 クロウがそう言って深々と礼をするのを、心底嫌そうな瞳でミアは見つめていた。



「姫って呼ぶな。気持ち悪い。そーだ、ルイト、お前もだ!何が騎士(ナイト)だ!」


 金縛りにあってまったく動けないルイトに指を突きつける。

 そんなこと言われても・・・といつもならルイトは苦笑したろう。が、今は動けない。

 そんなルイトをよそにミアはもう一度クロウを睨み付けた。



「まあ、それはどっちでもいい。・・・さっさとケリつけるぞ。」

「そう慌てないで。」


 クロウはまあまあ、と落ち着かせる。


「覚えてないのか?オレのこと。」