危険だからと最初は反対したルイトも、ミアがあまりに行くと言い張るので最後にはしぶしぶ一緒に行くのを認めた。

 もちろんユリアもついてきた。


「でも、危険そうだったらすぐに逃げるからね!」

「うん。」


 ミアは素直に頷いた。

 ルイトはそんなミアに絶対だよ、と念を押してからこう続けた。



「それじゃあ、簡単に敵と味方のことを言っておく・・・ていっても、ほとんどは敵ばかりだ。それを最初に覚えておいて。むしろ味方はほぼいないといってもいい。テツヤさんみたいな例は珍しいんだ。」

「敵ばかり・・・わたしはいったい、何をしたの?なぜ命を狙われることになったの?」


 もしかすると、いつも見える幻影と関係があるのかもしれない。

 『呪われた子』『忌み子』と呼ばれる自分。存在自体が危険なのだと嫌われる。いったい自分は何をしてしまったのだろう?



「それは・・・」



 ルイトの表情が曇る。



「君は何もしてないよ。何も悪くない。悪いのは、『力』に頼りすぎている古い世代の人たち。あとは、何も知らずに言われたことを鵜呑みにしている若い世代の人たち。」

「よくわからないよ、ルイト。」

「・・・」



 黙ってしまったルイト。ユリアも困ったように微笑むだけで口を開こうとはしない。



「ごめん・・・ミア。今はまだ話せない。そのうちちゃんと話すから・・・」

「ルイト・・・」



 ルイトがこんなことを言うのは初めてだった。今までは何を聞いてもゆっくりと、ミアにわかるまで説明してくれたからだ。