大方の状況は説明してあったらしい。ミアが何も覚えていないことも。今部屋から出られない状況だと言うことも。

 ユリアはちゃんとミアの着替えを一式、そろえて持ってきていた。

 と、ともにもう一式・・・


「ちょっと待って、ユリア。」


 二人分の荷物を広げはじめたユリアを、ルイトがあわてて制する。


「なあに?」

「まさかとは思うけど、ユリアまでここに泊まるなんてこと、考えてないよね?」

「何言ってんの。あたしがミアちゃんを一人にするわけがないでしょう?」


 当然とばかりにユリアは言い放つ。

 ルイトは大きなため息をついて額に手を当てた。


「あのね、ユリア。君はもう結婚してるでしょ?こんなところに来て・・・」

「いーの。てっちゃんには言ってきたから。」

「なんて言ってきたのさ。」

「あたしのかわいいミアちゃんが心細い思いで待ってるからって・・・」

「ユリアぁぁ・・・」



 ルイトはがっくりとその場にひざをついた。


「テツヤさんまで巻き込む気なの?」

「あら、巻き込んでないわよー?だってあたし、一人できたんですもの。」





 ピンポーン





「あのテツヤさんが来ないわけないでしょっ?」

 ルイトはそう言い捨てるといやいや玄関に向かった。