「ミアちゃん大丈夫?!」


 カイのときと同様、出迎えたルイトを突き飛ばす勢いで部屋に駆け込んできたのは、肩より少し長いくらいのこげ茶の髪の女性。


「怪我してない?あ、ミアちゃんなら自分で治すのかしら?怖かったでしょう?もう大丈夫よ。」


 なんだか一度どこかで聞いたような台詞。

 ただカイと違うのは、何の躊躇もなくミアをぎゅーっと抱きしめたこと。ふわりと甘い香りがした。



「あ、あの・・・」

「まったくあの子にも困ったものねえ。ミアちゃんをこんな目に遭わせるなんて。一度がつんと言ってやらないと・・・」

「ユリア。」



 なんだかさっきと同じシチュエーション。
 ルイトのあきれたような声がした。


「離してあげな?ミアが困ってるよ。」

 ルイトの言葉でやっとミアは開放された。


「あたしが来たからにはもう大丈夫よ、ミアちゃん!こんな男二人にミアちゃんを任せるなんてこと・・・ってあら?」


 と、ユリアはふと気づいて部屋の中を見回す。


「カイは?」

「逃げたよ。」

「あらっ、またあの子はミアを放って!!」


 ユリアが細い眉を吊り上げる。
 いとこ、と言っていたがルイトとはあまり似ていない。
違和感のないこげ茶の髪はどうやら天然らしい。
瞳もそろえたように薄めの茶色で、それだけがルイトと唯一似ていそうな点だった。
顔立ちはルイトとはまた違った感じにきれいで。
水色だとか淡い桃色だとか、そんな色の服が似合いそうだった。

 素直に、美人だなとミアは思った。
歳は知らないが、きっと年齢より若く見られるだろう。
結婚しているといっていたのだから二十歳は超えているはずだが、十代といっても信じるだろう。