カイは残りを吐き捨てるように言った。


「『イレブンス』がその後ミアに何かしたんだと思う。・・・意識操作ができれば、記憶を消すことなんか簡単だったろうな。意図はよくわからねえけど。」


 苦々しい表情のカイ。

 自分がそばについていながら、というのがあるのだろう。


「そう・・・『イレブンス』が攻撃を・・・。」


 ルイトの表情は険しい。


「こちらに攻撃を仕掛けてきたってことは、敵だと思っていいよね?やっかいだなあ・・・」

「そうだな。へたをすると、『セドナ』かもしれねえ。」



 カイは目を細めた。

 あのイレブンスの、漆黒の髪と漆黒の瞳――闇をそのまま体現したような色。感情の読めない、しかしただの無表情とも少し違う愁いを帯びたようなあの顔。

 ルイトが緊迫した、ぴんと張り詰めた空気をまとう。整った顔立ちなだけに怖い。

 慣れているはずのカイでも、一瞬ゾクリとする。


「カイ。もう少し詳しく教えてくれる?」

「・・・わかった。」


 カイはこくり、とうなずいた。