リビングに戻るとすでにテーブルに朝食が用意されていた。


「ああ、そうだ。着替えなんかがないと困るね。あ、そうだ。ユリアに連絡しておくから、もうちょっとだけ我慢して♪」

「・・・ユリア、さん?」

「うん。僕のいとこ。普通の人間なんだけどよく事情を知ってて味方してくれるんだ。でも最近結婚しちゃって頻繁に呼び出すと怒られるんだけどねえ・・・まあ、ミアの緊急事態だし許してくれるよ♪」


 そういうとルイトは携帯電話でどこかに電話をしはじめた。

 その間にミアは朝食に手をつける。


「たぶんユリアはすぐにくるはずだよ。ミアの一大事だって言ったからすっ飛んでくるさ、きっと♪」

「?」

「ミアはユリアのお気に入りだからね~♪」



 嫌な予感がするのは、ミアの気のせいだろうか?






 朝食を向かい合って食べながら、ミアはふと口を開いた。

「ねえ、ルイト。せっかくだから、もう少しその『力』のことについて教えてくれる?」

「うん、もちろんだよ。これから知らなくちゃいけないことだ。」


 ルイトはにこりと笑った。


「んじゃあ、何も知らないミアのために最初から教えるよ。」

「うん。」

「世間ではあんまり知られていないけど、この世には僕らみたいに『力』をもつ人間がいるんだ。その始まりがどこで、いつ、どのようなものかはわからないけれど、僕らの祖先は大昔、何らかの理由で日本に来たんだ。『力』を持っていることを隠してね。だから、僕らみたいな『力』を持つ人間が、突然生まれるんだ。先祖がえりってやつ?」


 そう言いつつルイトは『力』を使ってミルクの入ったカップを宙に浮かせる。

 それはふわりとミアの手に収まった。