愛しいキミへ




彼―――隼人はそう言ってあたしに笑いかけた。
あなたは…何を望んでるの?
何が…したいの?


「ねぇ、隼人は星斗が嫌い?」

何も言わずに空を見上げてる隼人。
その横顔は双子かと疑うほどよく似ている。

「…嫌いだね。あいつは俺の欲しいものを全部持ってるくせに笑おうとしない。
俺がどんだけ頑張っても手に入らないものなのに」

それは、星斗が1番欲しいものが手に入ってないからじゃないの?
思ったけど言わない。
今、そう言ったら欲張りだって隼人は言うに決まってる。
1番大事なものが手に入らなかったら他は関係ないのにな。

「隼人は…何が欲しいの?」

「あいつが持ってるもの全部」

隼人のが欲張りじゃん。
きっと星斗だって頑張ってるに決まってる。
だから笑わないんじゃないの?

頑張っても手に入らないって知ってるの…?

あたしの頭の中は星斗への疑問ばっかだけど肝心の星斗はここにはいない。


ヒュー…バーン!!

夜空に綺麗な花が咲いた。
アナウンスの声と共に次々と花が咲く。

「…星斗と見たかったなぁ…」

本音を言うと期待してた。
隼人が初めて声をかけてきた時‘星斗’と言ったのは似てたからだけじゃない。
期待してたから。

あたしは待ってたんだよ…
星斗を。

でも、来てくれなくて良かったとも思った。
星斗に会ったらあたしはきっと自分の事しか考えられなくなる。

1回会ったらあたしは星斗への思いを抑えられなくてまた会いにいってしまう。


矛盾してるって自分でも思うけど、それも星斗が大好きな気持ち。
そんな気持ちも愛しいって思うあたしはおかしいかな…?